昨年度の調べで、国内ではソーラータワーに関する研究はほとんど行われていないことが明らかになったが、例外として、九州大学応用力学研究所の大屋氏が理論応用力学講演会の講演「風力発電の空気力学特性と集風式新型風車の開発」の中で、過去に行った研究としてソーラータワーの話をされたことがわかり、大屋氏から航空宇宙学会西部支部の講演会で発表された研究「太陽熱による熱上昇風の生成と煙突型構造体を用いた風の集束について」を教えていただいた。 この研究では、室内実験および数値実験での解析を実験室規模で行い、得られた上昇流から流れの相似則に基づいて、100mの高さの煙突での上昇流を推定するもので、その結果、実スケールの風速として約8.9m/sを、理論最大風車効率から46kWの出力を得ている。 その研究を参考に、なるべく簡単にモデル実験を行うために、これまで気象のシミュレーションで使ってきた3次元矩形格子を用いた数値モデルを、格子間隔を小さくすることで、ソーラータワーによる風を再現することを試みた。現在までに、乾燥空気の場合で、地表面温度がそれほど大きくない範囲では、ある程度大きな上昇流を作ることに成功したが、地表面温度を気温に比べて十分大きな温度にした場合には、計算が不安定化するという結果になっている。使用している乱流パラメータなどを調節することによって不安定化を防ぎ、十分大きな上昇流を再現することを試み、その後、湿潤過程を含んだ上昇流の評価を進める予定である。なお、前述の大屋氏らの結果は風力タービンを考慮しないモデルであるが、最近の研究ではその影響を入れたものも行われているので、できればその方法についても勉強して導入する方向で考える予定である。
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