核融合炉実現のためには定常・高ベータのプラズマの生成・保持が必須である。本研究計画では、ディスラプションが無く、定常・高ベータで単純な磁場コイルによるダイバータ配位を有する新しい理想の核融合炉概念を模索している。特に、(1)新しいN=1のコンパクトヘリカル配位(ヘリカルとミラーとの融合)、(2)新しいヘリカルトカマクの装置(トカマクとヘリカルとの融合)、(3)新しい球状のヘリカル装置(トカマクとヘリカル、およびミラーとの融合)、の新規磁場配位を検討し、その閉じ込め特性を明確化することを目的としている。特に(3)については、プラズマ予備実験を行い、閉じ込めの実証実験を推進中である。 (1)の新規N=1コンパクトヘリカル概念については、理論解析を継続中である。特に、筆者の有する各種解析コードを使い、プラズマ平衡、粒子軌道解析、安定性解析、輸送解析、炉システム検討を進めた。 (2)のヘリカルトカマクの検討については、トカマク中での新古典ティアリングモード(NTM)の解析を進め、トカマク混成配位の予備解析をすすめた。 (3)の独自の球状ヘリカルシステムに関しては、磁気面の詳細解析をすすめ、ヘリカルコイル1本または2本でプラズマを閉じ込める独創的な概念の実証を進めている。特に、磁気面形状、回転変換の向上、ダイバータ部分の磁力線追跡、等の検討を進めた。また、これらの解析を踏まえて、磁場コイルとプラズマ平衡の関連を実証するための実験準備を進めている。平成17年度中に、装置を核融合研究所から名古屋大学に移動させ、プラズマ実験を開始した。現状では既存の装置は小型でしかも閉じ込め磁場が弱いので明確な効果が現れていない。現在、磁場をパルス化して磁場強度を向上させる改造を進めている。
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