研究課題
本研究では、同時計数イベントから再構成したRI分布からPET装置の全検出器についての非同時計数イベントを再現することを検討するために、1)東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターのECAT931(CTI社製4リング-BGO-PET)を用いて、H^<18>F-H_2Oを満たしたホットスポット形状の異なる3種類のファントム(φ210mm)の同時計数と非同時計数を種々の統計精度で測定し、2)PET装置固有のFOV全体にわたって陽電子分布を任意に設定してモンテカルロ法に基づいて対消滅γ線の飛行と検出をシミュレートすることにより、解析的画像再構成と非同時計数を事前情報に変換して用いる逐次近似画像再構成(ML-EM法)の一致の度合いを評価しました。その結果、同時計数の再構成画像から再現される非同時計数の分布と測定された分布を比較することによって、逐次近似法における画像の更新の有効性を判定すると、画像に含まれる高周波のノイズへの追随を制限できるために、統計精度に劣る低放射能の測定においても、逐次近似の画像再構成法での画像更新回数を適切に決定できることを確認しました。また、ガントリー上の全検出器に亘る非同時計数分布データは、同時計数より再構成された画像における小さなホットスポットの部分容積効果による歪みを精確に補正するために有効であることを確認しました。以上のことより、陽電子断層撮影(PET)での非同時計数データ(無用イベント)を測定して非同時計数ならびに同時計数とポジトロン濃度分布との相関関係を決定することによって、統計的に有利な非同時計数データをポジトロン分布の事前情報に変換して逐次近似画像再構成法に活用することで、統計精度に劣る同時計測データからポゾトロンの濃度分布を高い精度で再構成できることを明らかにしました。この様な無用イベントのPET画像再構成への利用によって、放射性核種の低投与量および短時間スキャンといった被曝制限下においても高品質な画像が提供できるPETの高感度化が達成できることを明らかにしました。
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