研究課題/領域番号 |
17656305
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岩瀬 彰宏 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (60343919)
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研究分担者 |
馬場 祐治 日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究員 (90360403)
知見 康弘 日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学研究部門, 研究員 (30354830)
土田 秀次 京都大学, 工学研究科, 助手 (50304150)
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キーワード | 高速重イオン / 異種元素ミキシング / 電子励起 / 酸化物 / 珪素化物 / 放射光 / イオンビーム分析 / 照射誘起拡散 |
研究概要 |
シリカ、およびアルミナ基板上にビスマス、および金の薄膜をコーティングした試料を、真空蒸着法、あるいはスパッタ法で作成した。これらの試料は、原子力機構のタンデム加速器を用いて、150-200MeVのエネルギーのKr,Xe,Auイオンで照射した。それに先立ち、試料コーティング、照射実験のための真空排気系、照射システムなどを整備した。照射試料は、Heビームによるラザフォード後方散乱法を用いて、酸化物-金属界面の異種元素ミキシングの様子を評価した。その結果、ビスマスーアルミナ界面では、高速重イオン照射による元素ミキシングが観測され、その大きさは、イオンの電子的阻止能とともに増加した。一方、低エネルギー(3MeV)Siイオン照射の場合は、照射量を多くしても、元素ミキシングは全く見られなかった。これらの実験結果から、アルミナービスマス界面では、高速重イオンによる高密度電子励起のエネルギーが格子系に緩和し、異種元素のミキシングが起こったことがわかった。一方、金薄膜試料では、基板がアルミナ、シリカのどちらでも、電子励起ミキシングは見られなかった。ビスマスに比べ金の場合、伝導電子密度が大きいので電子励起状態は短時間で緩和する。従って、電子励起のエネルギーが有効に格子に伝播されなかったためであると結論した。研究成果は、論文にまとめ発表した。次に、シリコン単結晶基板上にパラジウムをコーティングした試料を高速重イオンにより照射し、パラジウム中へのシリコン原子のミキシングの様子を、高エネルギー加速器研究機構(KEK)放射光施設における光電子分光測定、X線吸収微細構造測定により評価した。予備実験の結果、シリコン原子がパラジウム中に照射誘起拡散していく様子を捉えることができた。結果の一部は、放射光シンポジウムなどで発表するとともに、論文として出版すべく準備中である。
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