研究概要 |
地域メッシュ統計他の各種統計データに基づき,愛知県を対象として1kmX1kmの地域単位で民生部門の電力需要および分散型電源の賦存量を算出した。その結果,PVシステムの賦存量は大半のメッシュにおいて数1,000kW/km^2となり,集中導入実証地区の数分の一程度となった。また,業務部門3業種(ホテル,病院,店舗)におけるCGSの賦存量は合計で210MWとなった。地域の最大電力需要に対する分散型電源の賦存量の比を算定した結果,67%のメッシュにおいて導入比は200%以下となった。 これらの導入量の算定結果に基づき,想定東海地震および想定東南海地震発生時のPVシステムによる電力供給量と需要とのバランスを算定した。兵庫県南部地震の際のインフラ停止,建物崩壊に関するモデルを用いて,地震発生時の需要や稼動可能なPVシステム容量を算定した。その結果,90%以上のメッシュでは,新築家屋の部にPVシステムを導入することで,インフラ停止に伴う病院・学校の不足エネルギー量を賄えることがわかった。また,経年によって新築建物が増加し,地震発生時の建物崩壊確率が低下して稼動可能なPVシステムが増加するため,住宅等における不足エネルギー量についても,PVシステムによる補填率が増加することがわかった。 また,長期的な建物の建て替えによる需要集中地区の形成を想定し,CGSの排熱とボイラとによる熱供給によって冷暖房および給湯需要が賄われる場合について,線形計画法を用いた最適化計算によって集中地区に配置される需要家の組合せを決定し,一次エネルギー削減量を算定した。愛知県豊田市の562個の4次メッシュを対象とした検討の結果,従来のエネルギー供給の場合と比較して,全てのメッシュにおいて提案システムの導入によって0.1TJ〜5.6TJの一次エネルギーが削減され、全メッシュ合計の削減率は5.2%となった。 さらに,分散型電源の大量導入がエネルギー輸送インフラの構成に与える影響を算定するためのモデルを構築した。架空送電システムを対象とし、評価指標として物質投入量を用いた場合について、電源から需要地域までの距離が異なる場合や、需要分布の異なる場合に対し、定性的にはおおよそ妥当な送配画線の選択が可能であることを確認した。
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