細胞凝集が誘導される低温培養時のセルロースの解析を検討した。まずさまざまなセルロースや多糖の定量法を検討したが、夾雑物が多く、また検出特異性が低いことが判明した。一方、セルラーゼ処理が細胞凝集を解消するので、この処理で放出されるグルコースを定量する方法を検討した。その結果、セルラーゼやセロビアーゼ処理で大量にグルコースが放出されることを見いだした。しかし、セルロースの完全分解にはまだ至っていない。この結果、短鎖のβ1→4結合からなるセロビオース様の多糖が多く含まれていることが判明した。セルロースの抽出法で十分に抽出できない理由の一端が、このセロビオース様の多糖の蓄積である可能性が高い。 セルロース合成酵素Tvtlr1795をtrcプロモータを用いて強制的に発現させるDNAを常温性シアノバクテリアに導入し、形質転換体を得た。Hisタグを導入して発現させたTvTlr1795タンパク質をニッケルカラムクロマトグラフィーによって膜画分から精製することに成功した。酵素活性の同定は現在進行中である。他のセルロース合成酵素Tvtlr1930-33、Tvtlr0007の発現コンストラクトの作成も試みたが、コード領域の配列に問題があり、まだ完成していない。この発現系の確立を参考にして、大腸菌でのセルロース合成酵素の大量発現系の構築を現在検討している。また、この発現系でのセルロースの定量を試みた。
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