研究概要 |
極限植物の懸濁培養細胞系の構築については、極限植物の生息地として、沖縄県の西表島に着目した。西表島には日本に自生する全てのマングローブ(オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギ、ヒルギダマシ、ヒルギモドキ、マヤプシキ等)が存在するだけでなく、他にもミミモチシダ、ミルスベリヒユ、グンバイヒルガオなど一般的な植物が生育できない濃度の塩存在下でも生育できる多様な熱帯沿岸植物群が存在する。この他、(財)進化研究所で維持されているマダガスカル島で独特の進化を遂げたディディエレア等の乾性有刺林類、各種サボテン科植物、多肉植物、復活草など、極限植物を集め、培養細胞系の構築を試みた。これらの極限植物群の葉、あるいは未熟種子を採取し、滅菌後の組織を5mm程度になるように切断して、これを各種植物寒天培地上にのせ培養した。培地としては、Murashige-Skoog培地(MS培地)、Amino Acid培地(AA培地)の2種類を基本培地と、その各々に対し、オーキシンとして2,4-ジクロロフェノキシ酢酸とナフタレン酢酸、サイトカイニンとしてベンジルアデニンを用い、それぞれを10^<-6>、10^<-7>、10^<-8>Mの濃度範囲で組み合わせた培地を用いて、各極限植物の最適培養条件を明らかにした。この方法で得られた培養細胞、あるいは直接極限植物から採取した組織から、mRNAを抽出し、cDNAを合成し、λZap II(Strategene社)を用いてライブラリー化した。
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