研究課題
プリオンは蛋白質性の感染因子である。プリオンの概念は、羊のスクレイピーの感染機構を説明するための概念に端を発するが、酵母にもプリオン的な挙動をする蛋白質があり、プリオンの概念はかなり普遍的なものとなってきた。プリオンでは、もともと正常に機能する蛋白質が異常型に構造変換し、最終的にはアミロイド様の凝集体になる。このとき、活性を持った蛋白質はプリオン化することで不活性型に変化する。プリオンの概念自体、病気が元になって成立してきたことが、実際には酵母プリオンではプリオン表現型は「病気」ではない。また、酵母プリオンは一種類ではなく、実証されただけでも4種類、候補となる蛋白質は何十種類も存在する。その共通項は一次配列内にグルタミン(Q)かアスパラギン(N)からなるストレッチが存在することである。別な言い方をすると、酵母プリオンはポリグルタミン(PolyQ)とも言える。そこで本研究では、酵母に存在するPolyQを含む蛋白質を網羅的に解析して、その凝集-可溶の性質などを系統的に調査し、プリオン現象の生理的意義を検証することを目的とする。本研究の初年度は、出芽酵母においてこれまでに知られているプリオン蛋白質(Sup35、Ure2、RNQ1、New1)、およびプリオンの候補となる蛋白質にGFPおよびアフィニティー精製できるようなタグを遺伝子内に導入するための準備を行った。具体的には、Sup35にGFPを融合したDNAを遺伝子工学の手法で作成し、プリオン化した出芽酵母に導入した。Sup35-GFPがプリオンに変換したあとの凝集のダイナミクスを1分子レベルで追跡した。
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