研究課題
タンパク質の構造が変化し、細胞内に沈着する代表的なトリープレットリピート病では、、連続したアミノ酸(ホモポリアミノ酸)が細胞死の原因になっていることが明らかになってきた。本研究では、まず、ポリアミノ酸の細胞毒性を検討し、次にポリアミノ酸同士の相互作用を明らかにした。まず、YFPのC末端にポリアミノ酸30個を発現させるコンストラクトを20種類用意しでCOS細胞に発現させ、細胞の生存をトリパンブルーで定量すると同時にカスパーゼ3の活性を測定した。その結果、Phe、Val、Leu、Ileなどの疎水性アミノ酸とCysの発現において細胞が死ぬことがわかり、それに比例してカスパーゼ3の活性が上昇した。この結果、ポリアミノ酸はアポトーシスを誘導することがわかった。以前よりポリアミノ酸同士の会合が細胞死の機能に重要であると言われていたが、我々の予備実験ではそのようなことはあまり見られなかった。そこで、酵母two-hybrid法を用いて相互作用を直接検討した。この結果、ポリグルタミン病で指摘されているようなGln同士の結合は認められなかったが、Ala同士やAlaとProの相互作用などが検出された。この相互作用は、pulldownアッセイでも確認できた。次に、ポリアラニンに結合する因子を、ポリアラニンpulldownアッセイ、質量分析を用いて検討した。その結果、数種類のピルビン酸脱水素酵素のサブユニットが検出された。以上の結果より、ポリアラニン同土が結合することがわかったため、アラニン鎖の長さを変えて相互作用を検討した。その結果、アラニンの長さが16個以上になると結合が認められ、7個では結合しなかった。現在のところ、ポリアラニン病では9個以上のアラニンがあれば症状が出ると言われており、アラニン鎖の長さが重要な意味を持つことが示唆されていたが、私たちの結果より、これはポリアラニンの持つ相互作用が細胞死に関係していることを強く示唆するものであった。
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