本年度はまず、交付申請書に記載した遺伝生化学的スクリーニングに使用するため、E-selectin遺伝子のプロモーターの制御下に、それぞれネオマイシン耐性遺伝子、Green fluorescence protein (GFP)遺伝子、CD14遺伝子を発現するレポータープラスミド3種を構築した。構築したレポータープラスミドを、レトロウイルスベクターに対する感染効率の高い繊維芽細胞であるNIH3T3細胞に、それぞれ遺伝子導入後、nuclear factor (NF)-κBの活性化を誘導するリポ多糖(LPS)などで刺激を行い、レポーター遺伝子の発現について検討した。その結果これまでに、満足できるような高発現が認められず、今回の目的には、NIH3T3細胞は不適切であると判断した。そこで、新たにIL-3依存性の浮遊細胞であるBa/F3にレポーター遺伝子をマーカー遺伝子と共に導入し、マーカー遺伝子の発現を指標にstable transformantを数十種類樹立した。この細胞内でNF-κB活性化を惹起するレトロウイルスの陽性コントロールとして、Toll-like receptor及びIL-1 receptorの下流で機能するアダプター分子MyD88を発現するレトロウイルスベクターについて構築を完了した。平成18年度は、樹立した細胞株にMyD88を発現するレトロウイルスベクターを感染させ、レポーター遺伝子を高発現する株を選別した後に、既に構築済みのマクロファージ由来のcDNA libraryを感染させ、レポーターの種類に対応した方法でスクリーニングを行うことを計画している。
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