研究課題
神経回路形成のメカニズムを研究する上で、様々な神経細胞の回路形成過程を生きた組織内で追跡することは重要な課題である。申請者は独自に合成した蛍光NGF、Cy3-NGFを用いて、脊髄後根節神経の受容体をもつNGF感受性細胞に選択的に取りこまれる。このような(1)リガンド結合の特異性に基づいた選択的な神経細胞の蛍光標識を神経回路形成途上の胚組織内でおこない、同じ部位から伸長した異なる神経軸索のガイダンスをin vivo条件で観察・追跡することによって、神経軸索ガイダンスのメカニズムを明らかにすることがこの研究の目的である。組織内での蛍光イメージングは、焦点面以外に由来する蛍光の迷光やその散乱光の影響がきわめて大きい。すなわち、組織内のTrkA受容体発現細胞すべてがCy3-NGFで標識されると、良好な組織内イメージングをおこなうことが難しい。そこで、組織内に存在する一部の神経細胞にCy3-NGFのドナーとなるEGFP等を選択的に発現させCy3-NGFを組織全体に投与しても、Cy3-NGFと結合する細胞すべてではなく、そのうちのある一部の細胞のみを観察可能とする方法を考案した。この考えに基づき、平成17年度は後根節神経組織に存在する一部の神経細胞に外来遺伝子を導入する方法の確立を試みた。試行錯誤の結果、単離後根節を導入する遺伝子とともにミネラルオイル中に取り出し、このなかで25ms、50Vの矩形波パルスを5-10回程度与えることによって、神経節内の少数の神経細胞に確実に遺伝子導入をおこなうことができるようになった。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (2件)
The Journal of Neuroscience 25
ページ: 2181-2191
生物物理 45(6)
ページ: 320-323