研究概要 |
これまでFCSの測定で得られる分子の動きの成分は最大3つであると仮定してきた。これを一挙に多成分に拡張するには、これまでの方程式の成分を単純に増やすのではなく、新たなアルゴリズムを導入することが必要とされる。その一つは散乱測定に既に用いられ数々の成果を上げているCONTINを利用した。 まずCONTINを蛍光相関分光の測定に利用できる形式、利用可能なインターフェイスを作成した。尚、CONTINはドイツの研究者が開発したアルゴリズムで、利用に当たっては無料であるが、承諾を得た。 インターフェースは特によく使われているソフトを利用するために、エクセルによる解析結果の表示を行うようにした。 本年度はモデル系で得られた測定データの解析を行い,モデルと結果の間の関係を明らかにしつつ,解析法の確立を行った。 測定した系は、蛋白の凝集体をモデルとして、アミロイドベータ蛋白質の一部を利用して凝集過程を解析した。時間とともに凝集する過程を分布関数として解析し、表現することができた。 また、膜タンパク質の凝集過程も解析を行い、シャペロンの有無により、膜タンパク質が凝集から解離、またはその逆過程を行うこと検出することができた。以上のように、本年度CONTINを用いた分布解析の方法の確立が行えた。また、明らかになった問題点として、分布解析を行ううえで、一成分もしくは2成分を固定して解析する必要があることが判明した。これらは本法が細胞内微環境や生体分子間相互作用を解析するためには重要なため来年度も引き続き構築することを目指す。
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