本研究では、3つの研究を平行して進め、タンパク質機能解析のための細胞内レベルコントロール方法としてのTetデグロン技術を総合的に確立することを目指した。 テーマ1)Tetデグロンタグの改変 様々なタンパク質の分解制御にTetデグロンを応用する場合、それぞれの目的タンパク質ごとに、要求される細胞内発現レベルは、異なっている。そこでこうした状況に対応できるようにするため、ヒト化コドンcDNAを合成オリゴDNAをもとに構築し、Tetデグロンタグに複数のバリエーションを作成した。その結果、従来のものの約10倍の発現レベルで同等の分解制御がかかるものを作成できた。 テーマ2)細胞内シグナル伝達系への応用 まず細胞内の様々な局面で重要なシグナル伝達を行っているMAPキナーゼカスケードをモデル系としてTetデグロン技術の応用を行った。恒常活性化型MAPキナーゼキナーゼとして、Tetdeg-MKK6、Tetdeg-MKK7を構築し、細胞に発現させてdoxの有無による細胞内レベルの変動を解析したところ、約10倍の増減が見られることが明らかとなった。しかし、細胞の贈職能やアポトーシスについて、けんちょな変化はみられなかった。今後、より詳細な細胞の解析を進めるとともに、他のキナーゼにも同様の方法の応用を進める。 テーマ3)デグロンタグ分解の分子機構の解明 HSP依存性ユビキチンリガーゼであるCHIPの関与を解析した結果、必ずしも明確な結果が得られなかったため、方針を変更し、Tetデグラトンプローブに結合するタンパク質を新たに同定することができた。今後、この因子の関与について解析を進める。
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