本研究では、タンパク質機能解析のための細胞内レベルコントロール方法として、Tetデグラトン技術を総合的に確立することを目指した。 18年度より解析を進めているMAPキナーゼの他に、遺伝子そのものの組み替えによる機能発現調節系を薬剤依存的に自在にコントロールできる系を構築することを目的として、リコンビナーゼCreにも応用を進めた。ドキシサイクリンの添加の有無によって分解が制御され、細胞内レベルが変動するCre融合タンパク質を構築することができた。これと並行して、loxPでの組換えによって異なる波長特性の蛍光タンパク質が発現するレポーターベクターを構築し、同時に細胞に導入して解析したところ、ドキシサイクリン依存的に組換えを誘導することができた。しかし、非誘導時にもある程度の組換え細胞がみられ、制御の厳密性において不十分な結果であった。 そこで、より厳密なコントロールを実現するために、転写・分解二重制御系の開発に取り組んだ。その結果、非誘導時の組換えを10分の1以下に減少させることに成功した。これはもちろん転写のみで制御した場合と比較してもはるかに高い精度でコントロールできていた。 さらに、ドキシサイクリンの添加後に、どのくらいの時間で組換えが完了できるか、について詳細な時間経過を解析したところ、数日以上の時間を必要とすることが明らかとなった。そこで、今後はより短時間の発現誘導によって、組換えを確実に完了させることができるような改良が必要であることが明らかとなった。
|