研究課題
真核細胞生物の細胞内はさらに膜で包まれたオルガネラにより満たされており、主に膜輸送を介してオルガネラ同士で頻繁に物質のやり取りを行っている。低分子量Gタンパク質Rabファミリーは膜輸送に関与する分子群としては最大のもので、哺乳動物においては約60種類ものアイソフォームが存在している。各々のRabは特定の膜輸送を制御すると考えられているが、12番以降のRabアイソフォームになるといつどこで何を運ぶのかに関してはほとんど解明されていない。Rabは活性化型固定化(dominant active, DA)変異体あるいは不活性化型固定化(dominant negative, DN)変異体を作成することが出来るため、特定の膜輸送に対する影響を検討することが可能であるが、ある種の受容体が未知のRabにより細胞膜に輸送される場合には、60種類全てのRabクローンに対してDA/DN変異体を作成する必要があり、60種類のうちどのRabが関与するのかを調べることはこれまで不可能であった。このため世界的にRabを網羅的に解析するツールのニーズが高まってきている。そこで本研究ではマウス及びヒトに存在する60種類のRabを全てクローニングし、これらのRabの機能を網羅的に解析するツール(「Rab bank」)を作成することを目指した。本年度は60種類のRabに対するDA変異体及びDN変異体を全て作成し、緑色蛍光蛋白質(GFP)タグ、FLAGタグを付加した発現ベクター、及び酵母two-hybrid用のベクターを構築した。
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