研究課題
オートファジーは真核生物に普遍的に存在する大規模な細胞内分解系である。本課題では哺乳類細胞を用いて、客観性のあるオートファジーの定量的評価方法を開発することを目的としている。オートファジーによる分解の本質は細胞質からリソソームへの「移動」であり、現在特にこのオートファジーの「フラックス」の定量が最も望まれている。そこで、リソソーム内が酸性であることに着目し、中性の細胞質からの物質移動をpH感受性色素で追跡することを試みた。まず酸性条件下で蛍光を発するプローブとしてまずアマシャム社のCypHer5を用いた。これは酸性条件下でのみCy5様の特性をもつ。CypHer5を細胞質にマイクロインジェクションしたところ、ただちにリソソームが染色された。これはこの色素がオートファジー非依存的に直接膜を透過している可能性が考えられた。そこで次にCypHer5をBSAやIgGなどのタンパク質に共有結合させ、これを細胞質にマイクロインジェクションした。その結果、リソソームへの移動がかなり抑制されたが依然として短時間でリソソームへ到達している像を得た。またこの結果はマクロオートファジー機能不全細胞(Atg5ノックアウト細胞)でもほぼ同様に観察された。これらの結果から、CypHer5を細胞質にインジェクションすることで、そのリソソームへの移行は追跡されているものの、オートファジーには依存しないリソソームへの輸送経路があることも示唆される。今後ミクロオートファジーの経路なども同時に阻害することによって、より全般的な細胞質-リソソーム輸送経路のモニター方法の開発を試みる。
すべて 2005 その他
すべて 雑誌論文 (4件)
Autophagy. 1
ページ: 1535-1541
Cell Death Differ, 12
蛋白質核酸酵素 50
ページ: 393-402
蛋白質核酸酵素 (印刷中)