本研究の目的は、小型淡水魚ゼブラフィッシュ胚において、人工的にデザインした短鎖RNAにより、時期・組織特異的に標的遺伝子の発現抑制を行なう実験システムを構築することである。本年度は、まず、その糸口として、ゼブラフィッシュにおける内在性microRNA(miRNA)について解析を行った。そして、米国Alex Schier博士らとの共同研究により、下記のような成果をあげた。 1.ゼブラフィッシュ胚発生初期に豊富に存在するmiR-430について標的mRNA群を同定し、これら標的mRNAの多くが母性mRNAであることを示した。この結果から、初期発生過程における母性プログラムから接合子型プログラムへの変換過程において、miRNAによる母性mRNAの発現抑制制御システムが重要な役割を果たすことが強く示唆された。 2.miRNAによる標的mRNA制御機構について解析を行い、miR-430がmRNAのポリA鎖短縮化を誘導することによって翻訳抑制やRNA分解制御を行っていることを明らかにした。
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