研究課題
種々の植物には、宿主植物に対して病徴を示さず、宿主細胞に一定量存在し、垂直(種子)伝播するといったプラスミド様の性質の自己複製する2本鎖RNAレプリコンが存在する。さらに、菌類、原生生物、昆虫からも、同様な性質を示す2本鎖RNAが検出される。我々は、イネより検出される約14kbpのプラスミド様2本鎖RNAレプリコンが、新たなウイルス(Endornavirus)に分類されることを示した。本研究では、植物病原菌である紫紋羽病菌(Helicobasidium monpa)からも約15kbpの高分子2本鎖RNAが検出され、この2本鎖RNAの部分塩基配列を決定したところ植物のEndornavirusと近縁であることが示された。これらの結果から、高分子プラスミド様2本鎖RNAレプリコン(Endornavirus)は、植物のみならず菌類にも分布し、菌類が媒介し広範囲の植物に分布した可能性が示唆された。また、植物病原菌Alternalia alternataから検出される2本鎖RNAについてもcDNAクローニングおよび塩基配列解析を進めた結果、この2本鎖RNAは、プラスミド様の性質を示す2本鎖RNAウイルスであるTotivirusのRNA依存RNA合成酵素(複製酵素)に相同性を示すタンパク質をコードするが、その相同性は低く、新規なRNAウイルスに分類されうる可能性を示した。さらに、プラスミド様2本鎖RNAレプリコンが広い範囲の生物に分布する普遍的なRNAレプリコンであることを示すために、昆虫(アリ)に存在する2本鎖RNAの単離とcDNAクローニング、および哺乳類細胞(ヒト培養細胞)からの2本鎖RNAの検出を試みた。
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Plant Molecular Biology 57
ページ: 173-188
Archives of Virology (in press)