研究概要 |
1)ナナフシモドキBaculum irregulariterdentatumの孵化幼虫を5月上旬に茨城県つくば市にて採集し、成虫になるまで飼育し産卵させた。25℃に維持することにより、休眠に入らずおよそ3ヶ月ほどで孵化する個体が出現した。また、低温で保護することにより産下後7〜8ヶ月に孵化させることができた。胚発生を記載しステージングを行うため、卵を産下後経時的に解剖したが、胚の成長に個体差が大きく、斉一な発生を行わせる条件は未だ確立できていない。一方沖縄県竹島町西表島にてアマミナナフシEntoria okinawaensisを採集し、現在経代飼育しているが、卵は休眠に入らず産まれた後およそ二ヶ月で孵化し、胚の発育の揃いも良く飼育も比較的容易なので、今後無翅種を用いるべき実験には主に本種を使用することを検討している。 2)ナナフシモドキ成虫の頭部よりゲノムDNA調製し、Distal-less(Dll),EF1a, engrailed(en),scalloped(sd),Ultrabithorax(Ubx)の部分配列をクローニングした。また、発生およそ50〜80%の胚よりmRNAを単離、cDNAを調整し、sdについてはRACE法により完全長cDNAの配列を決定した。また、ミトコンドリアDNAの大半の配列も決定した。これら得られた配列は、本種の系統分類学的位置と矛盾するものではなかった。
|