研究概要 |
1)研究室で継代したナナフシモドキBaculum irregulariterdentatumが産下した卵を段階的に温度を下げて低温に保護した後、段階的に温度を上げることにより、産下後6〜8ヶ月に孵化させることができた。低温に移行する条件を検討することにより、斉一な発生を行わせて胚発生を記載しステージングを行える可能性が示唆された。また卵を25℃に維持することにより、昨年同様休眠に入らずおよそ3ヶ月ほどで孵化する個体が出現した。一方沖縄県竹島町西表島にて採集したアマミナナフシEntoria okinawaensisの卵は休眠に入らず、25℃で保護することによりおよそ6週間で孵化することが分かった。産下後約3週間で反転し、4週で胚の体積は最大に達することも明らかとなった。さらにタイワントビナナフシSipyloidea sipylusおよびコノハムシ科のコブナナフシDatames mouhotiの採集に成功し現在飼育している。 2)昨年に引き続きナナフシモドキより、engrailed (en),のmRNAの3'領域の配列を決定した。また、アマミナナフシのenおよびscalloped (sp)の部分配列をクローニングしRACE法によりmRNAの3'領域の配列を決定した。これまで決定した配列をもとにナナフシ目内での系統関係を推定することを試みたが、配列の多様性が低いため信頼性の高い結果を得ることは不可能であった。また、ミトコンドリアDNAについても引き続きナナフシモドキの70%の配列を決定し、アマミナナフシについても部分配列のクローニングを行った。
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