研究課題
葉緑体ゲノムに外来DNAを組み込んだ遺伝子組み換え植物作出法をイネにおいて開発することを目的とする。本研究を成功させる最も重要なポイントは選抜方法と葉緑体ゲノムのホモ化技術であると考えられる。本年度は、選抜マーカーを高発現させるためのベクター開発と選抜マーカーの種類、選抜条件について検討した。選抜マーカーとして葉緑体内部で機能し、除草剤耐性を示す変異型アセト乳酸合成酵素遺伝子(ALS)を利用した。(1)遺伝子の高発現ベクター構築イネ葉緑体の16SリボソームRNAのプロモーター、翻訳効率をあげると報告されているT7ファージのgene10リーダー配列、タンパク質の安定化のための大腸菌の融合タンパク質ベクターpET3a配列、および、独自に構築した除草剤耐性変異型ALS遺伝子を連結した。この変異型ALS遺伝子は、葉緑体への移行シグナル配列を除去し、核に挿入されても機能しないように工夫してある。ビジュアルマーカーとしてGFP遺伝子も連結した。これらをイネ葉緑体DNA断片3kbの中央に組み入れた。この形質転換用ベクターをパーティクルガンを用いて胚盤由来のカルスに導入してALS阻害型の除草剤であるビスピリバックで選抜した。しかし、葉緑体が形質転換した植物は得られなかった。(2)新規変異型ALS遺伝子葯培養由来のカルスをビスピリバックで選抜することにより、ビスピリバック耐性の植物を得た。これは、ALS遺伝子のG95Aの新規変異が原因であることを明らかにした。G95Aの変異型ALSがビスピリバック特異的耐性を示すことを明らかにするとともに、選抜マーカーとして利用できることを示し、特許出願を行った。この新規変異G95Aを選抜マーカーとした葉緑体形質転換ベクターの構築に着手した。
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Rice is life : scientific perspectives for the 21st century. Proceeding of the World Rice Research CD
ページ: 105-107