日本の陸稲および水稲、しばしば旱魃に遭遇するベトナムの在来品種25品種から、登熟期の土壌乾燥処理による緑葉維持能力が異なるとみなされた5品種を選んだ。これらの品種を容量約50リッターの塩化ビニール管に土を詰めたポットに栽培し、開花後潅水を停止した。それぞれの品種には三つの処理を与えた。何もしない対照区、穂を切断してシンクの影響を除いた切除区、穂ぞろい期に窒素肥料を二倍にした窒素増量区を設けた。その結果、土壌水分の減少に伴い、緑葉面積の減少、気孔伝導度の低下が起こり、土壌水分との関係から明らかな品種間差が観察された。そして、いずれの処理区にも登熟期間の乾物増加量に品種間差があった。処理にかかわらずこのような品種間差の大きな原因は水利用効率にあった。ただし、緑葉面積の維持能力と水利用効率には明確な関係が見られなかった。さらに、その品種間差の機構を解明中である。
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