研究課題
イネ穂ばらみ期冷温障害は、四分子細胞から小胞子が遊離する小胞子初期に冷温感受性が最も高くなることから生ずる。この最高冷温感受性期の四分子細胞外膜のカロースの機能を解析することを目的としている。(1)イネとオオムギの四分子細胞外膜のカロースの厚さには違いがあり、イネの四分子細胞を囲むカロース膜は薄く、オオムギのカロース膜は厚い。このことを四分子細胞外膜カロース膜をアニリンブルーにより染色したのち蛍光顕微鏡で確認した。カロース膜の蛍光分光光度計による定量は、励起波長350nm蛍光波長474nmで定量的に測定できることが判明したが、蛍光分光光度計による測定感度は低いため、テッポウユリ四分子細胞カロース膜では測定が可能だったものの、イネ・オオムギ葯から取り出した四分子細胞では測定が困難であった。次年度は蛍光顕微鏡像の蛍光強度を画像処理により計測する方法を試みる。(研究代表者 小池説夫)。(2)四分子細胞が分化する段階から四分子細胞・小胞子を経て花粉細胞に到る花粉形成過程の顕微形態観察を行った(研究分担者 林高見)。(3)イネの四分子細胞カロース膜の形態変化を解析するために、カロース膜の厚さを変化させることが期待されるカロース合成関与調節遺伝子であるRop4をオオムギmRNAからPCRにより増幅・単離し、ユビキチンプロモーターに連結してイネに導入して形質転換体(T0世代)を得た。次年度において次世代を生育させ花粉形成過程を観察する(研究分担者 山口知哉)。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 70(in press)
日本作物学会記事 74(別2)
ページ: 312-313