研究課題/領域番号 |
17658018
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研究機関 | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
研究代表者 |
西島 隆明 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 花き研究所・生理遺伝部開花生理研究室, 室長 (60355708)
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研究分担者 |
仁木 智哉 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 花き研究所・生理遺伝部開花生理研究室, 主任研究官 (70355709)
山口 博康 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 花き研究所・生理遺伝部開花生理研究室, 主任研究官 (90414664)
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キーワード | 花器官 / 形態形成 / サイトカイニン / ホメオティック遺伝子 |
研究概要 |
トレニアの花芽に、合成サイトカイニンCPPUを処理したときの付属弁の発生過程を電子顕微鏡等で観察した結果、平板状の付属弁の原基は、雌雄ずい分化期に花弁原基の両脇に発生した。雄ずいと付属弁の原基の位置関係は、葉の原基と葉基の位置関係とよく似ており、付属弁が、雄ずいの托葉由来であることを示していた。また、糸状の付属弁の原基に関しては、花弁伸長期に発生した。その発生位置は、付属弁の基部が花筒と融合していることを考えれば、平板状の付属弁と同様に雄ずいの両脇であった。また、付属弁の組織は、円錐状の表皮細胞など、花弁に特徴的な構造を持っていた。以上から、CPPU処理によって発生する付属弁は、スイセン等の副花冠と同様、雄ずいの托葉が花弁状に発達したものであることが示唆された。 一方で、ペチュニアおよびストックにCPPU処理を行ったところ、トレニアで認められた花弁周縁の鋸歯の発生がペチュニアでも認められ、ストックでは、花弁数の増加が認められた。つまり、トレニアと部分的に共通の形態変化が認められた。 また、トレニアの花芽から、ホメオティック遺伝子のホモログとして、1種類のクラスA(TfSQUA)、2種類のクラスB(TfDEF、TfGLO)、4種類のクラスC遺伝子(TfFAR、TfPLE1、TfPLE2、TfMADSC4)のcDNAの全塩基配列を決定し、アミノ酸配列を推定した。いずれも、近縁種であるキンギョソウのホメオティック遺伝子と高い相同性が認められた。 トレニアの付属弁が副花冠であることが示唆されたため、参考のため、キンギョソウの副花冠におけるホメオティック遺伝子の発現パターンも調べた。その結果、葯から花糸、副花冠にかけて、発現が雄ずい型から花弁型に連続的に変化しており、花糸での発現は、雄ずい型と花弁型の中間であった。このような発現パターンが、副花冠が花弁状に発達する原因であると考えられた。
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