研究課題/領域番号 |
17658018
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
西島 隆明 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所・花き品質解析研究チーム, 上席研究員 (60355708)
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研究分担者 |
仁木 智哉 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 花き研究所・花き品質解析研究チーム, 主任研究員 (70355709)
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キーワード | 花器官 / 形態形成 / サイトカイニン / ホメオティック遺伝子 |
研究概要 |
平成17年度に単離されたトレニアのホメオティック遺伝子のホモログ(cDNA))の各花器官における発現量を定量PCR法によって調べた。ホルクロルフェニュロン(CPPU)処理による付属弁の発生部位は、CPPUを与える花芽発達ステージのよって異なるため、花芽における発達中の花弁を基部、中央部、先端部に分けて定量したところ、クラスAとおよびBの遺伝子がともに発現するいわゆる花弁型のパターンを示すのは基部と中央部のみであり、先端部は、主にBクラス遺伝子だけが発現していた。また、雄ずいにおいても、基部の花糸と先端部の葯とに分けて定量した結果、クラスBおよびクラスC遺伝子がともに発現するいわゆる雄ずい型のパターンを示したのは花糸だけであり、葯では主にクラスC遺伝子だけが発現していた。これらの結果は、ABCモデルの原則が成り立つのは各器官の基部側のみであり、先端部では異なった発現パターンとなることを示している。この理由については不明であるが、付属弁が平板状あるいは糸状に発達する違いの原因となっている可能性もあり、次年度、付属弁における発現パターンを中心に詳細に解析したい。 なお、平成17年度に単離したホメオティック遺伝子のホモログについては、現在、RNAiコンストラクトを作成してトレニアに導入中である。次年度、組換え体の解析を行う予定である。 ベンジルアデニン(BA)処理は付属弁の発生を誘導しなかったので、CPPUによる付属弁の誘導は、サイトカイニン酸化酵素の阻害作用によって内生サイトカイニンが蓄積することによるものであると考えられた。一方、付属弁の発生を誘導するCPPU処理では、処理後にまず花芽の花托部の肥大が起こる。この肥大は、付属弁の発生に先立って起こっていた。ところが、付属弁の発生を誘導しないBA処理は、花托部の肥大も誘導しなかった。CPPU処理では、花托部の肥大によって雄ずいの原基の間隔が開き、その隙間を埋めるように付属弁の原基が発生していた。このことから、CPPU処理は、花芽の花托部を肥大させて雄ずいの原基の間隔を広げることにより、本来発生しない雄ずいの托葉(つまり付属弁)の原基を発生させることが推察された。次年度は、CPPUによる花托部の肥大の原因と考えられる花芽分裂組織の肥大について詳細に解析したい。
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