植物ウイルスにはRNAをゲノムとするものが圧倒的に多く、DNAウイルスの研究蓄積は必ずしも多くない。そこで、環状1本鎖DNAをゲノムとするジェミニウイルス科ウイルスの感染系をまず構築した。Begomovirus属に属するBean golden mosaic virus(BGMV)の感染植物からBGMVゲノムをPCR増幅し、クローニング、シーケンシングを行った。次に複製開始点を2つ含むようなゲノム全体の1.5コピー分を土壌細菌Agrobacteriumのバイナリーベクターにクローニングした。このベクターを持つAgrobacterium菌をインゲンに接種したところ、約2週間後にBGMV特有の病徴が現れ、PCRによりBGMVのゲノムDNAが検出された。以上より、BGMVの感染系を確立した。同様に、同じくBegomovirus属に属するAfrican cassava mosaic virus(ACMV)のNicotiana benthamianaへの感染系、Mastrevirus属に属するTobacco yellow dwarf virus(TYDV)のタバコへの感染系、Curtovirus属に属するBeet severe curly top virus(BSCTV)のシロイヌナズナへの感染系を、それぞれ確立した。さらに、環状2本鎖DNAをゲノムとするSoymovirus属のダイズ退緑斑紋ウイルスのダイズへの感染系を確立した。
|