菌類で効率的に機能するプロモーター(TEFF)の下流にオワンクラゲ由来の緑色蛍光タンパク質(green fluorescence protein:gfp)遺伝子を組み込み、この発現ベクターを用いて種子伝染性フザリウムである、スイカつる割病菌(Fusarium oxysporum f.sp.niveum)、トマト萎凋病菌(F.oxysporum f.sp.lycopersici)、イネ馬鹿苗病菌(F.moniliforme)を形質転換した。形質転換後、緑色蛍光タンパク質を常時発現している形質転換株を選抜した。緑色蛍光タンパク質を常時発現している形質転換株の培地上における生育性状、分生子その他の器官形成に関わる性状、栄養要求性、抗生物質に対する感受性、マイコトキシン等の物質生産能、病原性などの性状を調査し、これらが親株と同等であることを確認した。上記で作出した緑色蛍光タンパク質常時発現形質転換株を用いて、スイカつる割病菌の種子感染過程、および汚染種子におけるスイカつる割病菌の種子存在様式を、蛍光顕微鏡および共焦点レーザー顕微鏡下で、可視化、観察した。また、イネ馬鹿苗病菌についても同様な方法で種子での存在様式、および種子〜葉鞘への移行動態を明らかにした(第31回日本農薬学会大会などで公表)。また、スイカつる割病菌について、環境負荷の少ない種子処理技術の探索を開始し、温酢酸溶液での浸漬処理が効果が高いことを見いだした。一方、イネ馬鹿苗病菌の種子伝染を抑制する微生物Trichoderma asperellumにも上記と同様に緑色蛍光タンパク質を導入、イネ種子〜葉鞘での動態観察、イネ馬鹿苗病菌との相互関係の可視化による防除メカニズムの解明を開始した(一部成果を平成18年度日本植物病理学会等で公表予定)。
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