研究概要 |
(1)寄生蜂ハマキコウラコマユバチの人工飼育 人工飼育の方法はすでに確率されているが、現有の飼育設備ではスペースに乏しく十分な個体数を確保出来ない。そこで、新規に購入した恒温恒湿器でさらに拡大して人工飼育を行った。これにより、多くのサンプルにたいする学習効果のデータをとることが可能になった。短期雇用1名を随時雇用することで飼育の効率も上がった。 (2)寄生蜂のハマキコウラコマユバチの合成品に対する学習効果 ハマキコウラコマユバチの合成品に対する学習行動は今までの予備的な実験から確認されている。17年度は一般に植物の揮発性物質と言われている物質について学習行動の反応強度を調べた。チャの葉から揮発する成分として確認されている5種類の物質の生物検定を行うことで、好む(学習しやすい)物質:geraniol, linaloolと好まない(学習しにくい)物質:benzyl alcohol, (Z)-3-hexenol, methyl salicylateとに分類することができる。この結果に基づき、geraniol, linaloolの2成分の識別能力について調べた。一つの物質で条件付けすると2成分の選択実験においては、条件付けした成分の方を選択して長く反応した。この2成分を、geraniol : linalool=1:2と2:1に混合した場合にもこの2つのブレンドを識別した。このことから、単独成分のみならず、比率の異なる混合成分でも学習して識別可能であることがわかった。
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