研究課題
本研究は、申請者らが細菌エンドファイトの機能的なコミュニテイーとして発見した「嫌気窒素固定コンソーシアム」を対象として、その植物や作物への広がり、植物体内における機能の解明を行うものである。本年度の成果は以下の通りである。ANFICOを構成するClostridium属細菌に焦点を絞り、12種(67サンプル)の野生植物や作物の解析を行った。試料から液体窒素を用いて、DNAを抽出し、Clostridium属細菌の16S rRNA遺伝子を標的とするT-RFLP解析を行った。10種の26サンプル(サトウキビ、イネ、タバコ、ダイズ、マングローブ)からClostridium属細菌が検出された。特に、Cluster XIVaに属するClostridium属細菌が植物体地上部で頻繁に検出され、その頻度はCluster Iの約2倍であった。サトウキビではCluster XIVaは全ての栽培時期に検出されたが、Cluster Iは夏期のみであった。また、ダイズでは根粒着生系統には検出されず、根粒非着生系統の茎および根に主にCluster XIVaが検出された。沖縄の高塩環境下に自生しているマングローブ林植物からは検出頻度は小さかったが、検出された7サンプルには全てCluster XIVaのClostridium属細菌であった。以上の結果より、Cluster XIVaが植物体内に固有なClostridium属細菌であると結論された。Cluster XIVaは、ヒトや動物の腸内細菌、ルーメン細菌として近年注目をあびているので、高等動植物と何らかの相互作用のあるClostridium属細菌のグループではないかと考えられた。ANFICOの機能解析を行うために、マーカとなるHerbaspirillum sp.B501株のnifH遺伝子発現を蛍光およびベータグルクロニダーゼ活性でモニターできる株を作る予定であったが、現在のところPlasmid上でのtranscriptional fusionまでできつつある。
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