植物材料の調製:熱帯イネ科牧草Brachiaria属のシグナルグラスとルジグラスを水耕法で栽培し、発芽後10日間生育させた後0.1mMの塩化カルシウム溶液に移行させ、500μモルの塩化アルミニウム濃度にして24時間に根から分泌する物質を採取した。採取は培養コンテナ内に別途根を収納できるインナーボトルを植物根2個体に1ボトルずつ装着し根から分泌する有機物質が水溶液内に拡散しないようにした。24時間後インナーボトルを取り外し分析に供した。 分泌物の検出:水溶液をNo6ろ紙でろ過後ロータリーエバポレータで濃縮し、1:1のメタノールで溶出後、当研究費で購入したHPLC用ODS系シリカ18M4カラムを使用し、グラデユエントポンプにて分離を行った。検出条件を種々検討した結果UV254nmで検出される極性の高いピークが数個、Alストレスで検出された。この画分は極性が高くエーテルよりも水画分に親和性が高いフェノール化合物であると推測された。しかし溶離液のグラデーションだけでは分離が不十分なため現在この分泌物質群の分離精製を試みている。 ペプチド解析:Al親和性のある物質の根における生成機構解明のため、根からフェノール化合物の生成に関与する酵素タンパク質の検出を目的に「ペプチド分離装置」を導入し、Alストレスで発現するスポットをシグナルグラスで検出した。現在Alストレスに特異的発現のあるアミノ酸シーケンスをQqTOFハイブリッドLC/MS/MSシステム(API QSTAR Pulsar i)及びMALDI/TOF/TOFシステムで行っている。
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