本年度は以下のような成果を得た。 1.イネアルミニウム感受性突然変異体の特性解析 単離したイネアルミニウム突然変異体als1とals2について生理的解析を行った。両変異体ともアルミニウムに対して高い感受性を示すが、他の金属例えばカドミウムやランタンに対する耐性は野生型と同程度であった。またhomopipesという緩衝液の存在下においても高いアルミニウム感受性を示すことから、根圏のpHの変化はイネのアルミニウム耐性機構ではないことを示している。さらに、根から分泌される有機酸の量をals1変異体と野生型コシヒカリと比較した結果、両系統ともアルミニウムに応答してクエン酸の分泌が認められたが、分泌量が少なく、また野生型と変異体との間に差が認められなかった。このことはクエン酸の分泌が変異原因ではないことを示している。 2.イネアルミニウム耐性遺伝子のマッピング イネ突然変異体と野生型コシヒカリと交配し、得たF_2について遺伝解析をしたところ、als1とals2とも単一劣性遺伝子によって支配されていることが分かった。またals1とals2と交配して得たF_1のアルミニウム耐性を調べたところ、野生型と同程度の耐性を示したことから、als1とals2は異なる変異に起因することがわかった。さらに、原因遺伝子をマッピングするために、インド型イネ品種カサラスと交配し、F_2のマッピング集団を作った。SSRマーカーなどを用いてマッピングしたところ、Als1は6番染色体、Als2は12番染色体に座乗していることを突き止めた。
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