研究課題/領域番号 |
17658040
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 昌 京都大学, 農学研究科, 教授 (70093250)
|
研究分担者 |
櫻谷 英治 京都大学, 農学研究科, 助手 (10362427)
小川 順 京都大学, 農学研究科, 助手 (70281102)
片岡 道彦 京都大学, 農学研究科, 助教授 (90252494)
|
キーワード | Single cell oil / 構造脂質 / トリアシルグリセロール / Mortierella alpina / アラキドン酸 / 高度不飽和脂肪酸 / リパーゼ / triarachidonyl glycerol |
研究概要 |
Candida antarctica由来固定化リパーゼによるトリアシルグリセロール(TG)加水分解の反応条件を制御することにより、TGの1位と3位のアシル基の結合を切断し特異的に2-モノアシルグリセロール(2-MG)を生成する方法を確立した。これにより生成した2-MGの脂肪酸組成を分析することにより、TGの2位の脂肪酸組成を特異的に解析することが可能となった。この手法を用いて、アラキドン酸高生産性糸状菌Mortierella alpina 1S-4株が発酵生産するTGの2位の脂肪酸組成の培養に伴う経時変化を調べた。その結果、TGにおける2位の脂肪酸組成はいずれの培養日数においても、飽和脂肪酸の割合が低く、オレイン酸(18:1ω9)やn-6系高度不飽和脂肪酸の割合が高くなっていた。このことから2位に高度不飽和脂肪酸が特異的に導入されていることが判明し、本糸状菌を用いるTGの発酵生産により、2位に高度不飽和脂肪酸を有する構造脂質の調製が可能であることが示された。 M.alpina 1S-4株をニトロソグアニジンで変異処理することにより、triarachidonyl glycerol(Tri-AA)を特異的に高蓄積する変異株NJ915株を取得した。本変異株の主なTG分子種はTri-AA、palmitoyl-diarachidonyl glycerol、tetracosanoyl-diarachidonyl glycerolの3種と非常にシンプルなものであった。培養7日目のTri-AA含量は全TGの約77%に達し、その生産量は乾燥菌体1gあたり12.5mgであった。これらの結果から、本菌はTri-AAの選択的な生産に適した菌であることが判明した。
|