研究概要 |
1.タンパク質の水和と安定性の関係 RNAse、lysozyme、chymotrimpinogen Aについて熱変性に伴う水和数変化について検討した。温度スキャン条件で測定して求めたunfblding曲線はvan't Hoff式により良好に記述できた。そこで、系に種々の糖類(スクロース、トレハロース、グルコース、リボース)を添加し、unfblding曲線への水分活性の影響を測定、これにWyman-Tanford解析を加えることによって、unfbldingに伴う水和数変化を求めた。さらに、水和数変化を考慮したタンパク質変性の新しい熱力学モデルを提案した。 2.イオン液体中の酵素反応 RNAseの熱安定性に対する、水溶性イオン液体である1-butyl-3-methyl-imidazolium tetra-fluoroborate(BMITFB)添加の影響について検討した。その結果、BMITFBはRNAseを不安定化することがわかった。次に、イオン液体中におけるリパーゼ反応を行った。イオン液体として、methyl-trioctylammonium trifluoroacetateを溶媒に用い、セラミック固定化リパーゼによるtrioleinのbutanolysisを行った結果、反応は良好に進行した。また、イオン液体中におけるリパーゼ反応は、少量の水の添加で大きく加速された。 3.イオン液体を溶媒とする酵素反応における生成物の超臨界二酸化炭素による抽出 上記反応生成物(butyloleate ; BO)を超臨界二酸化炭素で抽出するために、反応混合物に対して、超臨界二酸化炭素(85atm,35℃)バブリングを行った結果、BOは容易に抽出できた。このことは、イオン液体を反応溶媒とし、超臨界二酸化炭素を抽出溶媒とするグリーンバイオリアクターシステム構築への可能性を示すものである。
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