研究課題
本研究では、細胞傷害性T細胞やナチュラルキラー細胞の細胞傷害機構を工学的に応用し、生細胞に抗体を効率的に導入する技術を確立することを目的とした。その第一段階として、実験材料となるパーフォリンとグランザイムB遺伝子の取得を行った。PCR3ベクター(Invitrogen,CMVプロモーター)を基本骨格として、マルチクローニングサイトの下流に、FLAGタグ(DYKDDDDK)を挿入し、C末端側にFLAGタグを付加することのできる動物細胞用発現ベクターを作製した。ヒトナチュラルキラー細胞株YTより、トータルRNAを精製した後、オリゴdTをプライマーとして、逆転写酵素反応を行い、一本鎖cDNAを合成した。パーフォリンおよびグランザイムBの塩基配列情報から、N末端およびC末端にそれぞれEcoRI、Xholの制限酵素配列を付加したプライマーを設計した。これらのプライマーを用いて、YT細胞より作製した一本鎖cDNAを鋳型としてPCRを行った結果、パーフォリンおよびグランザイムB遺伝子に相当すると考えられるDNAフラグメントを得た。これらのDNAフラグメントをEcoRIとXhoIで切断し、上記のC末端FLAG発現ベクターのEcoRI-XhoIサイトにクローニングした。DNAシークエンシングによって塩基配列を決定し、変異のないヒトパーフォリンおよびヒトグランザイムBの遺伝子であることを確認した。さらに、ヒト胎児性腎細胞HEK293細胞にパーフォリン遺伝子およびグランザイムB遺伝子を一過的に発現させ、細胞ライゼートを調製した。SDS-PAGEでタンパク質を分離し、ニトロセルロース膜へ転写後、抗FLAG抗体でウェスタンブロッティングを行った。パーフォリンおよびグランザイムBを発現させた細胞では、それぞれ60-70kD付近と30-35kD付近にポジティブなバンドが観察された。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (6件)
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