種子へのセオブロキシド処理による低温障害抑制効果の解析の目的のためにジャスモン酸類とサリチル酸およびそのグルコシドを一括して分析する方法が必要とされた。そこでジャスモン酸類とサリチル酸グルコシドの重水素ラベル体を合成し、一括して分析可能な分析方法を開発した。その概要は植物体(10g)の抽出液を液々分配のち、C18カラム、DEAカラムで処理後、HPLCを用いての粗分画後、GC-MSを用いて分析するものである。ナノグラムレベルでの分析が可能である。 また、セオブロキシドも分析の対象であり、含有量、代謝移動の形態分析のために重水素ならびに放射活性ラベル体もあわせて合成しようと試み、両化合物の合成に成功した。重水素、放射活性ラベル体については既報の方法を用い、一部原料に重水素ラベルされた化合物を用いた。また、放射活性ラベル体に関してはセオブロキシド生産菌よりセオブロキシドの生合成中間体を単離し、NaBT_4を用いて還元し、放射活性ラベルセオブロキシドへ導いた。両化合物とも天然物の絶対配置を有する光学活性化合物である。他の植物についても種子処理を検討しており、タバコ、イネ、トマト、ササゲ等の植物について処理を行った。内生のサリチル酸、サリチル酸グルコシドを上記方法で分析したところ、イネについてはこれらの化合物の含量を上昇させ、タバコに関しては内生量を下げているという逆の効果が得られている。種が異なる場合、異なるレスポンスが観察された。
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