研究概要 |
Theobroxide(1mM水溶液、1粒/40ml)をカウピー(Vigna unguiculata)播種時の苗床に施し、播種約10日後、傷害応答シグナルとして認知されているsalicyhc acid(SA),salicylic acid glucoside(SAG)の幼植物内での含有量を測定した。Theobroxide処理の植物においてこれらの化合物の有意な蓄積量の上昇が確認された。傷害耐性付与が期待できたので、断水処理、キュウリモザイクウィルスの接種ならびにダイズ茎疫病菌の接種、それぞれ3つの処理を行った。これらの3種のストレスに対してtheobroxide処理の植物は無処理の植物と比較し、有意に耐性効果が観察された。以上の結果からtheobroxideの病傷害耐性付与効果を有する農業資材としての可能性が示唆された。また、ATP生産に関わる遺伝子のうち、ATP消費を促進する遺伝子(AOX)について検討したところ、theobroxide処理の植物ではコントロールに比べ有意に抑制されていることが解り、エネルギー節約型の植物、倹約型を導いているのではないかと示唆された。また、アサガオやホウレンソウを用いてtheobroxide効果を検討したところ植物ホルモンとして知られているジベレリンに対して何らかの阻害作用を示しているデータが得られた。
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