生のタラバガニの殻からMeOH-CH_2Cl_2(M/C)抽出物を得、ついでキチンカラムクロマトグラフィーにより精製した。その後、抗Bm ACP-6.7抗体による免疫反応試験で活性が示された試料を逆相HPLCで精製し、免疫反応試験で活性が示された試料を中心にMALDI-TOFMS分析が行われ、m/z5017とm/z1507または1506であるペプチド性の物質が検出され、共通の配列DLTGPSGYINFEHGが決定された。 ゆでたタラバガニ殻のM/C抽出物をキチンカラムクロマトグラフィーの後、ODSカラム、及びHPLCで精製した。そのHPLC分取画分のうち、顕著なUVピークを示した画分をMS分析したところ、m/z5021の極めて顕著なピークが検出された。そこで、この画分のアミノ酸配列解析を行ったところ、10残基目までのDLTGPSGYINの配列が決定され、この部分の配列は生タラバガニ殻由来サンプルから得られたペプチドの配列と一致した。 したがって、タラバガニのゆでた殻からも、生の殻からと同様の、キチンに吸着されるペプチド性の化合物が得られることが分かったので、材料としてはほぼ無料で入手可能なゆでた殻で研究を行うことにした。 これまでに、大量のゆでたタラバガニの殻からM/C抽出を行い、約8gの抽出物を得た。今後、この抽出物から十分な量のキチンに吸着されるペプチド性の化合物を精製し、全配列の構造決定を行い、計画に従って、研究を遂行していく予定である。
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