研究課題/領域番号 |
17658065
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
藤野 貴広 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 助教授 (40292312)
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研究分担者 |
増田 晴造 愛媛大学, 総合科学研究支援センター, 講師 (50363263)
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キーワード | タンパク質アセチル化 / アセチルCoAシンテターゼ / NAD依存性脱アセチル化酵素 / 短鎖脂肪酸 |
研究概要 |
カロリー摂取の制限は、広い生物種において実験的に老化を延滞させ、寿命を延長させる。近年、NAD依存性脱アセチル化酵素(Sirtuins)が老化・寿命の制御に重要な役割を果たしている事が明らかにされた。またSirtuinは、その酵素活性にNAPを要求することから、エネルギー代謝と老化制御を結びつける重要な役割を果たしていると考えられている。エネルギー代謝におけるタンパク質アセチル化のターゲットの一つとして、現在その調節に注目を集めているのがアセチルCoAシンテターゼである。AceCS1は脂肪酸代謝の初発酵素で、酢酸などの短鎖脂肪酸をアセチルCoAへ変換する。AceCS1はタンパク質アセチル化のためのアセチルCoAの供給にも機能していると思われ、AceCSのアセチル化制御機構の解明はエネルギー代謝と老化制御を結びつける新たなメカニズムを示す可能性が考えられる。 AceCS1又はAceCS2を肝臓で高発現するトランスジェニック(Tg)マウスを作製した。この内、AceCS1-Tgの複数のラインにおいて4〜6ヶ月令頃から極度の肥満を呈し、体重はコントロール群に対して2倍以上に達するマウスが得られた。本マウスは典型的な内蔵型肥満及び軽度の脂肪肝を示すほか、各組織の病理解析では脂肪細胞の大きさはコントロールに対して数倍に肥大していたが、その他の臓器に異常は見いだせなかった。 一方、AceCS1・cDNAを組み込んだアデノウィルスベクターを用い様々な培養細胞で高発現させた所、非常に近接した2本のバンドとして検出された。この内、高分子側のAceCS1はアセチル基による修飾を受けている可能性が考えられたことから、発現したAceCS1の約半分がアセチル化による活性阻害を受けていることが示唆された。これらの結果をもとに、AceCS1のアセチル化を受けるリジン残基をアルギニン残基に置換するなど、アセチル化を受けない変異体を作成した。
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