研究概要 |
昨年度に引き続き、愛知県豊田市の実験地にて操作実験を行った、スギ林内に3プロットに50kg、25kg、0kg硫酸アシモニウムを散布し、さらにリタートーラップの回収を行い、花粉形態の違いや落葉・雄花・種子・球果の量や窒素濃度等を分析した.その結果、落下雄花一個あたりの重さ、面積あたり雄花落下量、落下雄花の面積あたり個数、花粉形態にトラップ間の違いが見られなかった。落葉・種子・球果の分析については現在分析中である。 群馬、埼玉、東京、神奈川、静岡、愛知、京都、高知の合計約70地点でスギの開花直前の雄花、種子、生葉を採取し、窒素濃度と花粉形態を調べた。花粉を走査電子顕微鏡で形態観察を行ったが、地域による違いは全くなく、変動はないと考えられる。関東地方では、雄花と生葉の窒素濃度が高い傾向があったが、種子窒素濃度は低い傾向であった。雄花の窒素濃度は生葉の窒素濃度と有意な正の相関(r=0.54,P<0.01)があったが、種子の窒素濃度は雄花および生葉の窒素濃度どの間に関係はみられなかった。種子窒素濃度は平均気温および降水量と有意な正の相関があった.採取した種子は豊作年、雄花は凶作年と異なる年のものであるが、雄花と種子の生産に対して、資源投資が異なることが推察された。今後、全ての分析を行い、そのデータから詳細な解析を行う予定である。
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