研究概要 |
昨年度得られたモウソウチクのATP合成酵素βサブユニット遺伝子(以下atpbと略)のクローンについてさらに解析をおこなった。得られた3クローン(B-1,B-2,B-3)のうち相同性の高かった2クローン(B-1とB-2)とこれらとは相同性が56〜85%と低かった1クローン(B-3)では発現する組織が異なる可能性が高いことが明らかとなったが,相同性の低いクローンB-3はイネのatpb遺伝子の第8イントロンに相当するイントロンで他の2クローンとは大きさが明らかに異なることがわかった。B-1,B-2のクローンではイントロンの長さが約350bpであるのに対してB-3クローンでは約1100bpもあり,3倍にも達することがわかった。このイントロンは他の植物で調べたところ100〜670bpとバラツキはあったものの1kbを超えるものは唯一Nicotiana plumbaginifoliaの1279bpだけであった。この場合は,イントロン内にputative insertion elemntの存在が指摘されているが,B-3クローンではこのような配列は見当たらなかった。 クテガワザサの葯からmRNAを抽出し,cDNAライブラリーを構築した。現在,モウソウチクのatpbクローンをプローブとしてスクリーニングをおこなっている。 タケの培養系を確立するために,モウソウチクのタケノコを材料とし,イネ用R2培地に2,4-Dを植物ホルモンとしてカルス誘導をおこなった。置床後2〜3週間で切り口からカルスが発生した。しかし,継体培養をおこなってカルスを増殖するのに時間がかかるため,現在培地を検討中である。
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