研究概要 |
本研究では,水中ロボットカメラ(ROV)によって得られた水中映像に計量魚群探知機による音響映像を組み合わせ,水中映像の定量化技術を開発することを目的としている.さらに本研究では,近年注目されている現象を対象とし,その現象のメカニズム解明のための基礎的なデータを取得することも目指している.今年度は,その被害が問題となった日本海の大型クラゲを中心に観測を行った.具体的には,北海道大学水産学部付属練習船おしょろ丸(船底装備の計量魚群探知機を装備)の日本海調査(9月下旬〜10月上旬)に乗船し,北海道奥尻島沿岸から本州・日本海沿岸域で大型クラゲの目視調査を行った.ROVによる大型クラゲの観察は,目視観察により大型クラゲが高密度で分布する海域で実施した. 今年度の調査では,知見が乏しい大型クラゲの鉛直的な分布特性を定量化することに重点をおいた。その結果,船上から水中に遊泳するクラゲの視認が困難である場合も,ROVを用いることにより,その鉛直的な分布特性のデータを取得することができた。これらの大型クラゲの分布深度では,計量魚群探知機においても,大型クラゲからのエコーを確認することができた。これらの成果は,将来的に計量魚群探知機のみによる大型クラゲの水平・鉛直的な分布特性の把握に大きく寄与すると考えられる。今後,クラゲのサイズ,遊泳姿勢などのデータも併せ,水中映像と音響技術の更なるカップリングとより正確な分布特性の定量化を目指す。本研究成果は,博士論文の一部としてまとめられ,現在,雑誌に投稿中である。
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