研究概要 |
1.マダイ鰓及び腸管からのペプチド画分の分取 魚体重200g前後のマダイ20尾より鰓及び腸管前部及び腸管後部を採取し、液体窒素下で粉末化した後、沸騰酢酸水溶液を用いて粗抽出液を調製した。次いで、逆相C18カートリッジにより粗ペプチド・タンパク質画分を得た。得られた粗ペプチド・タンパク質画分をSP-sephadexにチャージし、1M酢酸、2Mピリジン及び2Mピリジン-酢酸により、それぞれ酸性,中性及び塩基性ペプチド画分を得た。得られた画分を凍結乾燥した後、0.1%酢酸に可溶化して抗菌活性を測定した結果。なお、供試菌体としてB.subtilisを用い、比濁法により抗菌活性を求めた。 2.抗菌ペプチドの網羅的解析 鰓の酸性,中性及び塩基性ペプチド画分の抗菌活性を測定した結果、塩基性ペプチド画分の抗菌活性が最も高かったことから、この画分をTSKgekG2000SWにチャージし、分子量1000-3000、3000-1万及び1万以上の画分に分別した結果、いずれの画分においても抗菌活性が認められた。まず最初に、1000-3000、3000-1万の画分をC8カラムを用いた逆相HPLCによって分離した後、ピーク毎に分取し、その一部をIon-Trap MSに直接導入することにより、各ピークの分子量と純度(単一成分であるかどうか)を明らかにすると共に、分取したピークの抗菌活性を測定した。その結果、抗菌活性を示すフラクションには分子量が8073.0,3792.5,4249.7のペプチドが存在していた。今後は、このペプチドを単離し、一次構造を明らかにすると共に、分子量1万以上の画分についても分析する予定である。
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