研究概要 |
1.GFP発現トランスジェニックギンブナの作製 全ての細胞・組織で発現する発現ベクターを設計・選択するために、本年度は、先ずギンブナより生殖周期の短いゼブラフィッシュを用いて効率的なベクターの比較検討を行った。βアクチンおよびEF-1プロモーター・エンハンサーを用いた場合,FO胚で強い蛍光が認められた。特にEF-1では一部の胚の血球においても蛍光が認められた。また、βアクチンプロモーターにeGFPを結合したコンストラクトを導入したゼブラフィッシュF1成魚の解析では,一部の系統で全身に強い蛍光が観察された。現在,これらの結果を基にギンブナに最も適した発現ベクターの選択を進めている。 2.細胞障害性Tリンパ球(CTL)特異的GFP発現トランスジェニックギンブナの作製 ゼブラフィッシュより、T細胞のみに発現するチロシンキナーゼであるlck遺伝子のpromoter領域を単離し、GFP遺伝子をつないだ発現ベクターを作成した。また、CTLのマーカーであるCD8のpromoter遺伝子をゼブラフィッシュより単離しGFP遺伝子をつないだ発現ベクターを作成中である。今後、これらのゼブラフィッシュのpromoterをギンブナに導入する予定である。 3.ギンブナのTリンパ球サブセットマーカー遺伝子の単離 ギンブナTCRγ鎖、CD4遺伝子およびlck遺伝子の単離に成功した。ギンブナTCRγ鎖については5種類のV領域、6種類のJ領域および少なくとも2種類のC領域遺伝子が存在することが明らかとなった。また、Tリンパ球サブセットの分化に関与するサイトカインについては、IFNγ遺伝子に7種類のアイソタイプが見つかり、そのうち3種類について全長を決定した。ギンブナIL12p35遺伝子には少なくとも2種類のアイソタイプが存在することが判った。
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