1.一細胞からのPCRによる多型解析 A.tamarense有毒株から一細胞ずつを収穫しcytochrome bの5'変異領域の配列に基づいた変異検出PCRによって得られた遺伝子配列を解析したところ、クローン培養株でありながら増幅断片長及び塩基配列が異なり株内に多様性があることが明らかになった。 2.一細胞からの毒量分析 蛍光化HPLC分析法での酸化反応条件の最適化により、A.tamarense有毒株の主成分であるC2の検出感度が6倍向上した。通常の分析法での回収率が34%と低かったため、遠心分離法を検討し標品による回収率が120%と良好なサンプル調製法を確立した。検出限界(S/N比=2)は11fmolと通常分析法で調べた有毒株の一細胞C2量を上回り、細胞を含まない培地の分析では培地由来夾雑物ピークとの分離も良好であった。無毒株の一細胞分析でもC1/C2の溶出時間にピークが検出されなかった。有毒株一細胞を47個分析したところ、通常分析での分析値付近のものが多かったものの検出限界以下のものや700fmolものもあり、クローン培養株内の毒生産能にも多様性が示唆された。
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