研究課題
本年度は、まず、環境価値の評価手法の一つである仮想評価法(Contingent Valuation Method ; CVM)におけるStarting Point Biasを回避するための手法を開発した。すなわち、従来の2肢選択CVMでは、回答者が提示額の影響を受けて推計された支払意志額(WTP)について、過大に評価されるなどの問題が指摘されてきている。そこで、本研究ではWTPと提示額との差を変数としたロジスティック関数を基にした提示額効果関数を、従来の推計式に代入することで、70%以上も推計誤差が減少したこと、また、WTPに対数をとった場合に問題となってきた平均値と中央値の乖離についても、大幅に縮小したことを明らかにした。また、環境価値を経済的に評価だけでなく、評価した価値を損益計算書や貸借対照表と関連付けて表現することも、重要な研究課題と考える。そこで、環境変動を記述するため、従来の財務会計の枠組みに、環境資産の変動を記述する人工資産変動計算書と自然資産変動計算書、および環境負債の変動を記述する環境負債変動計算書を連結させてストック計算書を作成するなど、創造型環境会計の枠組みを提案した。そして、ハウステンボスのデータを基に、その適応可能性について検討した。最後に、ドイツにおける廃棄物処理の現状と資源リサイクルシステムについて明らかにするため、環境都市として有名なフライブルク市を事例に調査を行い、その結果をとりまとめた。特に、注目すべきは、埋立て方式が主流であったドイツでも2005年6月1日以降、前処理をしていないゴミの埋立て処分が禁止されたため、同市近隣5市町の処分ゴミも合同施設で焼却処理されるようになった。その結果、フライブルク市民が支払うゴミ処理費用も来年には2倍になると言われている。
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環境シンポジューム『子ども達に美しい地球を-環境先進国ドイツでは今』実施報告書
ページ: 11-15
International Joint Symposium between Japan and Korea, The recent status and perspectives of agricultural, environment and biotechnology 2005
ページ: 108-119
環境経済・政策学会年報 10
ページ: 73-85