研究概要 |
開通後約3年が経過した土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の沿線を対象に,土地利用形態の異なる高知県中央東部地域3カ所における鉄道騒音の実測調査および社会調査を実施し,地域の活性化に活用するための基礎的データを収集した.その結果,鉄道騒音に対する周辺住民の不快感が,暗騒音レベルの異なる3地域間において相違のあることが認められた.すなわち,暗騒音レベルの高い商業地区では,新たな騒音源が導入されても住民の不快感はさほど変化しないであろうと当初予測していたが,逆に,暗騒音の低い農村地区の住民以上に強い不快感を示す結果となった.これは,同鉄道が県東部の農村地区住民の長年の夢が叶って開通したことにも起因しているとも考えられる.また,これより,騒音の発生が予測されるような事業を新規導入する際には,暗騒音レベルの低い地点を適地として選定することが妥当であるとも言えよう. 次に,南国市中心市街地内の2地点で同時に,未明から深夜の19時間のうち1時間×6帯,道路騒音および交通量を測定した.今後さらに観測点を多く選定し,同様の調査を実施し,各観測地点の地形や気象条件等の周辺環境および交通量の相違による影響を比較・検討する予定である.その際,周波数領域での分析とともに,周辺住民の音環境に対する意識調査も並行して実施することで,人間の快・不快感と騒音源の周波数特性との関係を把握することを試みる. さらに,地方小規模空港周辺における航空騒音を対象に,滑走路延長に伴う住民の感じ方の変化および行政対応に関し,ヒアリング調査を通して地域計画策定に供するための知見の獲得に努めている.
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