日本国内においてローカルアジェンダ21を策定している地方自治体を農村的性格を有する自治体と都市的性格を有する自治体とに類型区分し、それぞれの類型から調査対象となる自治体を選択し、現地での実態調査を行った。調査の項目は、策定動機、行動目的、策定手順、地域住民の関与、策定の内容、実施手段、実現手段、評価である。 併せて、国外の比較事例として、英国、オランダ、オーストリアにおけるローカルアジェンダ21の実施状況と事例地区における実態調査を行った。 英国では、持続型社会を実現するためには、環境だけでなくより全体的なアプローチ、社会や経済への対応も必要であり、特に、市民のライフスタイルや行動様式を変える必要があるとの理解が進み、ローカルアジェンダ21は「コミュニティ戦略」に取り込まれ、併せて「地域戦略パートナーシップ」が導入された。この「地域戦略パートナー」は、地域のボランティア団体、チャリティ、NGOなど多種多様な団体がパートナーシップを形成(パートナーシップ団体)し、彼らの活動と政府機関や自治体の政策との戦略的連携を強め、「コミュニティ戦略」の実現を図ることを狙いとしている。彼らは、コミュニティの能力を高める活動や、コミュニティ主体による社会的企実の育成なども同時に行っている。英国におけるこの動きは、地域住民が自ら地域の問題を解決できるようにすることを狙いとしている。 オランダでは、ローカルアジェンダ21の枠組みのもとに、自治体ごとに、現状を評価する項目を定め、NPOなどが主体となって、評価項目に基づく評価を行い、年々の改善状況を把握している。自治体ごとに、おかれた状況は異なるので、一律の評価項目を設定するのではなく、自治体独自の項目設定を行っている。しかし、基本的枠組みは中央政府によって統一のものが提示されている。こうした評価結果は、ウェブサイトに掲載され、国民誰もが、自分の住んでいる自治体の現状を、他の自治体との比較の目を持って、把握することができるようにしている。
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