本研究では、植物内における光合成能力(最大光利用効率)のマッピング法の開発をめざし、本年度は、1)簡便なPhotochemical Reflectance Index (PRI)画像計測システムの構築、2)PRI画像計測に基づいたPSII最大量子収率の推定法の検討を行った。まずは、531nmと570nmの反射率から計算されるPRIを、モノクロCCDカメラおよびバンドパスフィルターを用いて取得した反射画像から、画像間演算により推定するシステムの開発を試みた。実験室内において人工光環境下で、イチゴのポット苗およびバレイショ培養小植物体を植物材料として、植物葉に照射する光強度を変えて光利用効率を変化させた時の反射画像を、530nmのバンドパスフィルターおよび570nmのバンドパスフィルターを通してCCDカメラで撮影し、同時に撮影した標準反射板画像を利用して、画像間演算によりPRI画像を作成した。PRI画像から算出される各葉のPRIとクロロフィル蛍光測定により求めたPSII量子収率(クロロフィル蛍光パラメータΔF/Fm)との関係を調べた結果、イチゴ苗、バレイショ培養小植物体の両方において、光照射によりΔF/Fmが低下するとPRIも低下するという関係が認められた。 次に、PRI画像計測によりPSII最大量子収率を推定することが可能であるかを検討するために、バレイショ培養小植物体に暗処理を施した後、非常に弱い光(PPFDで0.1μmolm^<-2>s^<-1>以下)を照射した時のPRIを画像計測し、PSIIの最大量子収率を示すクロロフィル蛍光パラメータFv/Fmとの関係を調べた。その結果、強光処理によりバレイショ培養植物体のFv/Fmを低下させた場合、暗処理後弱光下で測定したPRIとFv/Fmには相関が認められた。
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