研究概要 |
本年度の研究成果は以下の通りである. 最初に,放牧牛から喫食音,咀嚼音,嚥下音および歩行音を、高精度で録音するための方法論について検討した.牛体に録音装置を長時間固定できる用具を作成し,小型マイクロフォンを、顎下部,頭頂部,鼻部,などへ様々な部位に装着し,より鮮明なそれぞれの音情報を単一のマイクロフォンで収集できる部位を検討した.その結果,喫食音については顎下部,咀嚼音については頬部にマイクを装着することで,鮮明な音響情報を収集できた.嚥下音および歩行音については,他の音と混合するため録音が困難であった.これらの検討に際しては,目的のそれぞれの音データが鮮明に録音でき,それらが実際の行動と対応しているかどうかを,ビデオ撮影による映像とすり合わせ確認した. 次に,様々な条件で放牧牛から録音したテジタル音響データを、コンピュータに取り込み、音響解析ソフトによる解析方法について検討した。喫食音、咀嚼音および嚥下音を、単一の音波形データから、分離分別し、時間経過にともなう回数、時間、リズムの変化を測定するための方法について検討した結果,回数と時間については分離解析が可能であったが,リズムの解析までには至らなかった。同時に,パーソナルコンピュータと音響解析ソフトウエアにより、各音を周波数解析し、それぞれの音の特徴を把握すると同時に、放牧条件による周波数特性の変動域を確認したが,喫食と咀嚼の違いは明確となったが,放牧条件による違いを検出するまでには至らなかった.来年度は,これらの方法的問題を解決し,異なる品質の牧草を牧草に給与し、各生体音の周波数特性の変化について検討する。
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