研究課題/領域番号 |
17658114
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
川島 千帆 帯広畜産大学, 大学院・畜産学研究科, COE研究員 (20374770)
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研究分担者 |
金子 悦史 帯広畜産大学, 大学院・畜産学研究科, COE研究員 (90374769)
宮本 明夫 帯広畜産大学, 大学院・畜産学研究科, 教授 (10192767)
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キーワード | 栄養学 / 応用動物 / 生理学 / 獣医学 / 畜産学 |
研究概要 |
本年度の研究目的である「分娩直後の初回排卵で形成される未成熟で短命な黄体の解析」のために分娩直後の初回排卵の有無に関連する要因の解析を本学の22頭の経産牛を用いて実施した。 分娩直後の初回排卵を分娩後最初の卵胞波の主席卵胞の排卵のみに特定し、この排卵の有無を(1)カラードップラー超音波画像診断装置を用いた卵胞成長の観察、(2)分娩前後約1ヶ月間の血液中の代謝および生殖内分泌因子の測定により比較した。 (1)の結果、分娩後最初の主席卵胞の出現は排卵の有無に関わらず分娩後約7〜10日後に確認され、ともに卵胞への血流が観察された。排卵は牛群の約半数で確認され、排卵後はしっかりとした血流のみられる黄体が観察された。試験を行った牛群で未成熟で短命な黄体がみられたのは1頭のみであった。 (2)の結果、排卵した牛は卵胞直径増加に伴いE2濃度が上昇したことに対し、排卵しなかった牛は卵胞直径が増加したにも関わらず、E2濃度は低いままであった。また、排卵しなかった牛は排卵した牛に比べて、分娩前から成長ホルモン濃度が高く、インスリン様成長因子1(IGF-1)の濃度が低い、すなわちエネルギー不足状態であったことが明らかとなった。さらに、22頭のうちの9頭については排卵に関わる因子をより詳細に解析するため、分娩後10日目から排卵した牛については排卵後7日目または排卵しなかった牛については分娩後20日目まで1日4回採血を行った。その結果、排卵した牛は排卵前のE2濃度のピークの前までIGF-1濃度が高いまま維持されており、E2濃度のピーク前に急激な低下をみせた。 これらの結果、分娩後最初の卵胞波の主席卵胞の成熟と排卵には、IGF-1の作用が最も強く関わっており、排卵の有無によるIGF-1の違いは分娩前のエネルギー状態が影響していることが示唆された。
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